帯状疱疹

帯状疱疹

帯状疱疹とは

帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)によって発症する感染症です。主に背中や腹部に痛みやかゆみを伴う発疹が現れますが、左右どちらかに片寄って生じることが特徴です。

帯状疱疹の症状

帯状疱疹の主な症状は痛みやかゆみを伴う発疹で、これは特に背中や腹部の左右片側に現れます。発疹はしばらくすると小さな水ぶくれに変化しながら数を増し、一部には膿がたまることもありますが、その後かさぶたとなって皮膚症状は治癒し、同時に痛みも治まります。しかし皮膚症状が治ったあとにも痛みが残ることがあります。これは「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる合併症で、帯状疱疹にかかった場合に一定の頻度で発症してしまうため、帯状疱疹は「発症しない」ことが非常に重要です。

帯状疱疹の原因

帯状疱疹は水痘帯状疱疹ウイルスに初めて感染した後、ウイルスが神経節(しんけいせつ)に潜伏し、何らかの理由によって再活性化することで発症します。多くの方は子どものころに水ぼうそうにかかっているため、体の中に水痘帯状疱疹ウイルスが潜伏しているとされています。このウイルスの再活性化が起こる理由は完全には解明されていませんが、免疫力の低下やストレスが関与すると言われています。

帯状疱疹のお薬

帯状疱疹の治療には抗ウイルス薬を使用します。抗ウイルス薬の種類としてはアシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどがあります。発症初期(原則として皮疹出現後72時間以内) に抗ウイルス薬を投与することで、水痘帯状疱疹ウイルスのDNA合成を妨げることができ、ウイルスの増殖を抑制します。重症の場合には入院して抗ウイルス薬の点滴が推奨されます。
また、帯状疱疹による痛みに対しては痛み止めを使用します。怪我による痛みがあるときや風邪で発熱があるときなどに使用する、アセトアミノフェンやNSAIDsなどの一般的な痛み止めから開始し、症状に応じて神経障害性疼痛に用いられるプレガバリンやアミトリプチリン塩酸塩などを追加します。また、疼痛が強い場合には神経ブロックの検討が必要な場合があります。(この場合は適切な医療機関へご紹介させていただきます。)

帯状疱疹の後遺症

帯状疱疹後の頻度の高い後遺症(合併症)として、帯状疱疹後神経痛(PHN : postherpetic neuralgia)があります。皮疹は改善しても『焼けるような痛み』『刺すような痛み』『ズキンズキンと疼く痛み』など、感じ方はさまざまではありますが強い痛みが残ります。これは帯状疱疹発症時にウイルスによって生じた皮膚や神経の炎症が残存することが原因と考えられています。
PHNに対しては、上述のような痛み止めを用いて症状を緩和します。

PHN以外の後遺症(合併症)として、顔面に帯状疱疹を発症した場合には角膜炎 / 結膜炎 / ぶどう膜炎といった目の症状を伴うことがあり、重症な経過では視力低下や失明に至ることがあります。その他にも、顔面神経麻痺や頭痛、耳鳴り、難聴などの症状が生じることがあり、顔面に帯状疱疹を発症した場合には注意が必要です。

六本木クリニックの治療方針

六本木クリニックでは、帯状疱疹に対する包括的で効果的な治療方針を提供しております。帯状疱疹は、水痘ウイルス(ヘルペス・ゾスター)によって引き起こされ、患者様に激しい疼痛や発疹が現れる疾患です。

帯状疱疹の治療は、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬の内服、痛みを抑える鎮痛薬の内服が中心となります。抗ウイルス薬は発症から72時間以内の内服が推奨されますが、より早期に内服を開始した方が、ウイルス量も少なく症状も軽く済みます。帯状疱疹が出た部位や範囲によっては合併症のリスクもありますので、自己判断で経過を見ることは控えてください。ピリピリ・ジンジンとした痛みを伴う発疹がある際には、お早めにご相談ください。

なお帯状疱疹は、ワクチンによる予防ができます。発症のリスクを下げるだけでなく、万が一発症した場合でも症状を軽減させることが期待できます。50歳以上の方は特に帯状疱疹の発症リスクが高いとされており、予防接種を受けることができますので、繰り返す帯状疱疹にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
皮膚疾患の一覧に戻る