よくいわれる「インフルエンザにかかった」のインフルエンザとは、「インフルエンザウイルス」による感染を示しており、「インフルエンザ桿菌(かんきん)」と呼ばれる細菌とは異なります。
インフルエンザウイルスは、呼吸器感染症を引き起こすウイルスの一種を示しています。
このウイルスは、A型、B型、およびC型の3つの主要なタイプに分かれ、A型とB型が人間に感染し、季節的な流行を引き起こす主要なウイルスです。
また、従来のインフルエンザウイルスが大きく変化して大流行する新しいインフルエンザ、いわゆる新型インフルエンザもあり、注意が必要です。
インフルエンザの流行期は一般的に冬季にピークを迎えます。しかし、冬だけでなく、春や秋にも感染が広がることがあります。背景には、ウイルスが寒冷な乾燥した環境で生存しやすく、人々が密集して過ごす屋内の場所で感染が広がりやすいことにあります。流行の収束は通常、気温が上昇し湿度が増す季節に向かって始まります。
インフルエンザによる症状はかぜの症状とよく似ており主に下記の症状が現れ、かぜと比較して高熱が出やすい、関節痛が強い、などの特徴があります。
インフルエンザウイルスは感染力が非常に強く、感染経路は主に下記の2つになります。
インフルエンザの予防には、下記の対策が重要となります。
インフルエンザワクチンは、感染を軽減し、重症化や合併症のリスクを減らすためにとても重要となります。
接種すべきタイミングとしては「打てる時に早めに打つ」が原則です。
六本木クリニックにおいてもインフルエンザワクチン接種を受け付けております。
接種期間等は予防接種ページをご確認ください。
インフルエンザとかぜの違いの一つは、引き起こすウイルスが異なることです。
かぜは主にライノウイルスなどによって引き起こされますが、これに対して、インフルエンザはインフルエンザウイルスによって引き起こされます。これらのウイルスは異なる種類であり、症状や重症度に違いをもたらします。
インフルエンザとかぜの症状にはいくつかの違いがあります。
インフルエンザは急激に始まり、高熱、筋肉痛、関節痛、倦怠感などが顕著に現れ、高熱や体のだるさが特に強調されるのが特徴となります。
一方で、かぜの症状は主に、鼻水、くしゃみ、喉の痛みなどの上気道症状となり、一般には軽度な症状となります。
インフルエンザを発症した場合、少なくとも解熱してから2日間経過し、症状が安定した後に学業や業務に復帰することが学校保健法で推奨されています。
一方で、かぜの場合、症状は軽度で通常短期間で改善することもあり、特に決まりはありませんが、いずれも感染拡大を防ぐために手洗いや咳エチケットなどの予防策は重要となります。
コロナウイルスの流行により、感染症への注意が高まり、手洗いやマスクの着用、社会的距離の確保などの予防策が普及しました。
これらの措置は、インフルエンザの感染拡大を抑制するのに一定の効果をもたらした一方で、コロナ前の生活に戻るにつれ、現在にかけても再びインフルエンザが猛威をふるっているため、これらの対策は大切です。
一般的なインフルエンザであれば基本的な診察や迅速抗原検査で診断が可能であり、採血やレントゲン検査は不要ですが、下気道への波及やその他の病気の可能性がある場合は採血、採尿、レントゲンなどの検査を追加することがあります。
なお、咽頭ぬぐいと呼ばれる迅速抗原検査について、発症から24時間以内は精度がやや落ちる(陽性なのに陰性とでてしまう)ため、発症から24時間以降に検査をすることを推奨しております。
検査結果は数分で得られ、感染の有無が確認できます。
発症からの 時間 | 感度(%)※1 | 特異度(%)※2 |
---|---|---|
~12h | 35 | 100 |
12~24h | 66 | 97 |
24~48h | 92 | 96 |
48h~ | 59 | 100 |
治療薬の一つとして、かぜ診療と同様に症状を和らげる対症療法薬があり、そのほかの治療薬としてはウイルスの増殖を抑制するための抗ウイルス薬があります。
抗菌薬(抗生物質、抗生剤)での治療効果はありません。
そのため、現れる症状は一般的に軽度から中程度であり、症状を和らげる目的として主に以下のような対症療法を行います。
アセトアミノフェン(商品名:カロナール、コカール、アルピニー、アンヒバなど)やNSAIDs(商品名:ロキソニンなど)などがあります。注意したいのは、発熱はウイルスと戦っている証拠であり、完全に平熱まで下げる必要はないということです。解熱剤というのはあくまでも一時的に熱を下げるもので、水分や食事の摂取を可能にすることなどが目的となります。またインフルエンザを疑う際には脳症のリスクを加味してNSAIDsの投与は基本的に行いません。
チペピジン(商品名:アスベリン)やデキストロメトルファン(商品名:メジコン)などがあります。またコデインを含む強い咳止めやステロイドを含む吸入薬は副作用も懸念されるため、医師の診察により必要な方のみに処方します。なお、ハチミツに同等の効果があるという論文もありますが、1歳未満の乳児には与えてはいけません。
抗ヒスタミン薬や点鼻薬のステロイドなどがあります。
もともと通年性のアレルギー性鼻炎などをお持ちの方には有効なことが多くあります。
上記の対症療法は、インフルエンザの症状を和らげるのに役立ちます。しかし、事前に適切な薬剤の選択と用法、特に年齢、既存の健康状態、アレルギーなどを考慮して医師に相談することが重要となります。
以下のお薬はそれぞれの抗ウイルス薬の特徴を示しています。
基本的にはハイリスクの方(65歳以上、肥満、心臓/腎臓/肝臓/呼吸器疾患のある方、産後2週まで含めた妊婦など)に加え、 症状が強い方が投与の推奨となります。
1日2回、5日間の内服が推奨されます。
発症から6時間以内の内服で最大効果を発揮する一方、発症から48時間が経過すると効果は認められません。
期待できる効果としては解熱までの時間を16時間早める、下痢を減らす、心血管イベントを減らすなどがあります。副作用としては嘔気や嘔吐があります。
インフルエンザに伴う異常行動のリスクを下げる効果はないため、発症後48時間以内は十分に注意して観察をする必要があります。
口から吸い込むタイプの吸入薬です。
治療としては1回の吸入のみで完結します。海外での報告ではタミフルと有熱期間が非劣性というデータがあります。 Biota Reports Top-Line Data From Its Phase 2 "IGLOO" Trial of Laninamivir Octanoate
口から吸い込むタイプの吸入薬です。
1日2回、5日間の吸入が推奨されます。
14時間程度、発熱期間を短縮するというデータがあります。
気管支痙攣のリスクがあり、喘息の方には投与することができません。 BMJ 2014;348:g2
1回の内服で治療が完結します。
非常に簡便なお薬である一方、ゾフルーザに対するウイルスの耐性化の速度が早いことから、積極的には使用しにくく適応を慎重に判断する必要があります。
1回の点滴で治療が完結します。 タミフルと比べて発熱期間の短縮効果は劣らないという報告もありますが、偽薬と比較して有効性が示せない報告もあり、適応を慎重に判断する必要があります。 Use of Intravenous Peramivir for Treatment of Severe Influenza A(H1N1)pdm09. PLOS ONE 7(6): e40261.
正しい生活習慣を保つことは免疫系の健康に大きな影響を与えます。
十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレスの管理などは免疫機能を強化し、かぜなどの感染症から身を守るのに役立ちます。
健康な免疫系は感染症からの回復を助けます。
六本木クリニックでは、患者様が安心して治療を受けられるよう、患者様の症状に合わせた適切なご説明とフォローアップを行い、副作用の監視にも細心の注意を払った上で、患者様の環境や状況に合わせて適切な治療薬を提案させていただきます。
オンライン予約システムを導入しています。
ご自宅から、職場から、移動中の電車からでも予約をとることができ、予約後に事前問診をWEB上でご入力いただくことにより、来院後の受付から診察までの時間をできる限り短くすることが可能となります。医師は事前問診を確認の上、患者様の訴えや経過を把握した状態で診察を開始しますので、一からご説明いただく必要はありません。
発熱患者様や咳など上気道症状のある患者様へは、待合室ではなく隔離スペースにご案内しています。
かぜなどの症状を周囲の方にうつしてしまう心配をできるだけ少なくするために、受付後の速やかな隔離を心がけています。
オンライン予約で事前問診に回答いただいた患者様は、当クリニックスタッフも状況を確認していますので準備をした状態でお待ちしています。
また、診察後の会計待ちなどもできるだけ他患者様との接触を控えるよう、隔離スペースでお待ちいただくシステムにしています。
発熱患者様や咳などの上気道症状がある患者様には、クリニック内でマスクをつけていただくよう推奨しています (強制ではありません)。
マスクをせずにご来院いただいても、受付でマスクをお渡ししますのでご安心ください。
マスク着用は周囲への感染リスクを下げることができ、他の患者様やスタッフを感染から守ることにも繋がりますので、ぜひご理解のほどお願いいたします。
なお、呼吸器疾患がありマスクをすることで苦しくなってしまう、不織布マスクでかぶれてしまうなどの事情がある方は、遠慮なく受付にてお申し出ください。
咳や痰などの上気道症状を伴う発熱患者様へは積極的にインフルエンザウイルス抗原の迅速検査を行っています。
検査には鼻咽頭ぬぐい液が必要であり、鼻の奥に綿棒を入れる必要があります。
苦痛を伴う検査となるため、一度の処置でインフルエンザとコロナを同時に検査することを推奨しています。
一方で、明らかな暴露歴がある方などはインフルエンザのみの検査を行います。
発熱や咳などの症状があっても、診察時にはインフルエンザかどうかはわかりません。
発熱、咳、痰、咽頭痛、頭痛、関節痛、腹部症状などといったインフルエンザの症状は他の疾患も疑う必要があります。
症状を詳細に聴取させていただき、インフルエンザの検査と同時に、症状に合わせた必要な検査を患者様個別に検討します。自覚症状はなくとも、診察で気になった所見があれば検査をご提案させていただきます。
インフルエンザに対する抗ウイルス薬は、誰にでも推奨されているわけではありません。
重症例や合併症がある方、年齢や基礎疾患によりハイリスクに分類される方など、適切に使用すべき対象が定められています。
また、発症から抗ウイルス薬開始までの時間も重要であり、少なくとも48時間以内の内服する必要があります。
当クリニックでは、本当に抗ウイルス薬が有用かを適切に判断し処方します。
インフルエンザで重要なお薬は抗ウイルス薬だけではありません。
ウイルスの増殖を抑制しても発熱や咳、関節痛などの症状が改善しなければ辛い時間が続きます。
インフルエンザによる症状は患者様個々に異なるため、症状に合わせて個別に処方内容を検討します。
患者様の困っている症状を改善できるよう、最適なお薬を選択させていただきます。
六本木クリニックは土日祝日も営業しております。
病院を受診して処方箋をもらったは良いけど処方してくれる調剤薬局がない、という状況では困りますよね。
特にインフルエンザで受診される方は、その日にお薬が欲しいから体が辛い中受診されています。
受診したその日に症状が改善できるよう、六本木クリニックではインフルエンザによる辛い症状に対応できるお薬を院内で取り揃えています。
そのため、土日祝日や夜間で近隣の調剤薬局が営業していなくても、症状を和らげるお薬をお渡しできますので安心してご受診ください。
昨今、たくさんの種類のインフルエンザ治療薬が使用されています。
どのお薬も一様に効果を認めるのかといえば、決してそうではありません。
お薬が一般的に利用されるまでには、効果や安全性を検証するためのさまざまな臨床試験が行われますが、その条件や結果はさまざまです。
上記の「インフルエンザ治療薬の違いについて」に参考となる情報を記載しています。
六本木クリニックではそれらの試験の結果を適切に判断し、根拠を持って患者様に合わせた治療薬を処方します。
インフルエンザと診断されていなくても、予防のために抗ウイルス薬を使用することがあります。
インフルエンザにかかりたくないと誰しもが考えますが、予防のためにお薬を使用することは誰にでも推奨されるわけではありません。
年齢や基礎疾患などにより、推奨される方は決まっており、適応を正しく判断することが重要となります。
一方、適応とはならなくとも、受験や大事なイベントのために最善を尽くしたい、絶対に欠席できない仕事があるなど、さまざまな事情があることも承知しております。
予防のために抗ウイルス薬を希望される方はお気軽にご相談ください。