尿路感染症

尿路感染症

尿路感染症とは

尿路感染症とは

尿路感染症とは、尿路に細菌が感染して炎症が起こる病気のことです。尿路とは、尿が作られてから排出までにたどる腎臓、尿管、膀胱、尿道のことを指します。尿路感染症の原因の多くは、尿道口から侵入した細菌が尿路をさかのぼって感染・炎症を起こす「上行性感染」によるものです。特に女性は尿道が短いため、尿路感染症にかかりやすいとされています。放置すると再発を繰り返して治りにくくなるため、早めの受診と治療が必要です。

尿路感染症の原因

尿路感染症の原因の多くは大腸菌の感染によるものです。他には尿の出口付近に常に住み着いている細菌、ウイルス、寄生虫が原因となることもあります。これらの菌は、侵入したとしても通常は排尿時に一緒に排出されるため、必ずしも尿路感染症を引き起こすわけではありません。しかし、トイレを長時間我慢したり排尿を妨げる機能障害があったりすると、細菌が増殖しやすいです。

尿路感染症の症状

尿路感染症は、感染の部位によって一般的には「膀胱炎」と「腎盂腎炎」の2つに分類されます。

膀胱炎

膀胱炎は、10~50歳代の性的活動期の女性に非常に多い疾患です。主な症状は排尿時に痛みを感じる(排尿痛)、尿が近い(頻尿)、尿をした後でもすぐにトイレへ行きたくなる(残尿感)、下腹部不快感、尿に血が混じる(血尿)などで、発熱はありません。

腎盂腎炎

膀胱炎とは異なり、腎盂腎炎では腎臓の部分の痛み(背部痛や側腹部痛)と発熱があります。発熱は38℃以上の高熱がほとんどで、炎症が強いと血尿がみられることもあります。炎症が腎臓の中まで至ると、腎臓自体に膿が溜まる「膿腎症」や、細菌が血流に乗って腎臓から全身感染症に陥る「敗血症」を来すことがあり、命にまで関わる大病になることがあります。

尿路感染症の検査

尿路感染症の検査

尿検査

尿検査では、白血球や細菌有無を調べます。膀胱炎は尿検査でほぼ診断できます。正確に尿を採取するため、尿道から膀胱内に細い管を入れて尿を直接採取することもあります。尿検査では出始めの尿(初尿)ではなく、排尿の途中の中間尿を採取して調べることが重要です。出始めの尿には尿道や陰部周囲に存在する細菌や白血球などが混じってしまい、正確な診断ができないことがあるため、途中からの尿を検査用のコップに入れて検査します。尿検査の結果、白血球が多く発見された場合は膀胱炎と診断されます。また、発熱や腰痛などがみられる場合は腎盂腎炎と診断されます。

尿中細菌培養検査

尿の中に細菌がいる場合は、採取した細菌を検査室で増殖させて、細菌の種類を特定する検査を行います。細菌培養検査を行うことにより、原因となる細菌に有効な抗生物質を特定することも可能です。検査結果が出るまでに、通常数日~1週間程度かかります。

超音波検査

膀胱炎を短期間で繰り返す場合には、尿が膀胱から尿管に逆流する異常や、膀胱や腎臓内に細菌の温床になる異常などの先天的な構造異常の有無を調べます。

尿路感染症の治療

尿路感染症のお薬

尿路感染症の原因となる細菌を殺す抗菌薬を投与して治療を行います。一般的には多くの尿路感染症は内服の抗菌薬で治療が可能ですが、腎盂腎炎により症状が強い場合は、入院をして点滴の抗菌薬を投与します。

尿路感染症の治療方法

抗生物質の内服

発熱をともなわない膀胱炎は、抗菌薬を3日間服用すれば治ります。しかし、高熱を伴う腎盂腎炎の場合は、2週間の投与が必要です。多くの場合は、抗菌薬服用後24時間で症状が改善しますが、途中でお薬を飲むことをやめると細菌が生き残りやすくなり、再発してしまう可能性があります。そのため、症状が改善した後も渡されたお薬はすべて飲み切ることが大切です。ただし、最初は食欲もなく脱水気味になっているケースが多いため、点滴で抗菌薬を投与します。解熱後に食欲も出てきたら、抗菌薬を飲み薬で続けます。

水分の摂取

体内の細菌を尿で流し出すためには水分の摂取が欠かせません。尿路に細菌が侵入したとしても、通常は排尿時に一緒に排出されるため、日頃から水分をたくさん取り、尿を我慢しないことが大切です。尿を我慢して膀胱に尿が溜まると、細菌が増える原因となります。抗菌薬を服用している間も水分をたくさん取り、尿は我慢せずに頻繁に出しましょう。

生活習慣の改善

膀胱炎を繰り返す場合には、排便後の拭き方やウォシュレットの使用などの生活習慣に原因がある可能性があります。排尿を我慢する職場環境などの原因となり得る生活習慣があれば改善が必要です。

イオン葛西クリニックの治療方針

イオン葛西クリニックにおける尿路感染症の治療方針

尿路感染症の症状がみられる場合、問診にて原因となりうる生活環境などがないかチェックします。もし再発を繰り返すリスクがあれば指摘し、今後の生活で注意してもらうよう指導します。受診当日には尿検査をさせていただき、尿中に白血球や赤血球が含まれていないかを確認します。簡易的な尿検査で尿路感染症を示唆する所見に乏しい場合、必要に応じて尿中細菌培養検査を行う場合もあります。抗菌薬による内服治療を開始した後、症状が改善すればそのまま経過をみていただいても構いません。しかし、症状が持続する場合などは、抗菌薬の変更や点滴治療の必要性を判断するため、再度診察をさせていただきます。必要に応じて、入院設備のある医療機関を紹介させていただきます。

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