肺炎は、肺に炎症が生じる病気の総称であり、呼吸困難や咳、発熱などの症状が現れます。肺炎の種類によって症状や治療方法が異なります。数日から週単位で急速に進行する肺炎を急性肺炎、月単位で緩徐に進行する肺炎を慢性肺炎と呼びますが、明確な境界は定められていません。
急性肺炎は主に細菌、ウイルス、真菌などの感染が原因で、急速に進行することが特徴です。特に免疫力が低下している高齢者や小児では重症化するリスクが高くなります。急性肺炎の代表的なものとして「細菌性肺炎」や「誤嚥性肺炎」が挙げられます。
細菌によって引き起こされる肺炎で、一般的に急速に発症します。細菌は飛沫感染や接触感染を通じて伝播します。定型肺炎(肺炎球菌などが原因)と非定型肺炎(マイコプラズマ、レジオネラなどが原因)に分かれます。
食べ物や唾液、胃内容物が誤って気道に入り、肺に炎症を引き起こします。特に嚥下機能が低下している高齢者に多く見られ、症状が進行することがあるため、注意が必要です。また誤嚥性肺炎は食べ物や唾液の誤嚥がきっかけで生じる細菌性肺炎ではありますが、感染経路や原因菌の違いから一般的な細菌性肺炎とは区別して扱われます。
急性肺炎の原因には、以下のようなものがあります。
それぞれの原因によって治療方法は異なりますので、適切な診断が重要です。
主な症状には以下があります。
急性肺炎の検査には、主に以下のような検査方法があります。症状や程度に応じて適切な検査を実施していきます。
バイタルサイン(体温、血圧、脈拍、酸素飽和度)や呼吸音の確認を行います。
網状影や浸潤影を確認し、肺炎の範囲や重症度を評価します。
詳細な画像診断を行い、肺の状態をより正確に把握します。
炎症マーカー(CRPや白血球数)を測定し、感染の程度を評価します。
痰を採取し、細菌や真菌の有無を調べて原因を特定します。
特定の病原体を検出するために追加の検査が行われることがあります。
病原菌を特定するために痰を培養し、適切な抗菌薬を選定します。
誤嚥性肺炎が疑われる場合、誤嚥の原因となる嚥下機能に問題がないかを確認します。
当クリニックでは急性肺炎と診断した方に対して、まずは重症度の評価を行います。酸素の状態や血圧などのバイタルサイン、年齢、脱水の有無などから重症度を判定します。それら以外にも、呼吸苦の有無、基礎疾患、炎症反応の程度、肺炎の範囲などを総合的に判断し、クリニックでの通院治療とするか、入院施設のある医療機関への紹介が必要かを判断します。
細菌が原因である肺炎に対しては抗菌薬を使用します。抗菌薬にはペニシリン系、セフェム系、マクロライド系、キノロン系などさまざまありますが、肺炎の状態に応じて薬剤を選択します。また、内服での投与にするか、点滴での投与にするかも状況に応じて判断します。
ウイルスが原因の場合、原因ウイルスに対する抗ウイルス薬が存在するものに対しては薬物治療ができますが、必ずしも該当する抗ウイルス薬があるわけではありません。その場合は今ある症状を緩和するための対症療法(発熱に対して解熱鎮痛剤、咳に対して鎮咳薬、痰に対して去痰薬など)を行います。
これらのお薬で治療を行い、重症度に応じて定期的に通院いただき、経過を確認します。治療の効果が見られず、増悪傾向にあると判断した場合には、外来での治療は困難であると判断し提携の専門病院へ紹介させていただくことがあります。
肺炎は重症化すると命に関わることもあるため、早期発見と治療が特に重要になります。気になる症状があればお気軽に当クリニックまでご相談ください。