結膜炎とは、結膜が炎症を起こす病気を指します。結膜は白目の表面からまぶたの裏側を覆っている粘膜です。炎症を起こすと、目の充血やかゆみ、目やになどの症状が現れます。
結膜炎にはウイルス性結膜炎やアレルギー性結膜炎などがあり、発症原因や症状、治療方法が異なります。それぞれの結膜炎についてみていきましょう。
ウイルス性結膜炎のうち、人に感染しやすいものは「はやり目」と呼ばれています。はやり目には流行性角結膜炎と咽頭結膜熱、急性出血性結膜炎があります。
はやり目以外にヘルペスウイルスによる結膜炎がありますが、人に感染しにくく、流行することもほとんどありません。
アレルギー性結膜炎は、ハウスダストや花粉などが原因で起こる目のアレルギー疾患です。
花粉による季節性アレルギー性結膜炎や、アトピー性皮膚炎が原因のアトピー性角結膜炎などがあります。
日本眼科アレルギー研究会によると、2017年時点でアレルギー性結膜炎の有病率は48.7%であったと報告されています。
結膜炎の原因には、花粉やハウスダウトなどのアレルギー物質やウイルスによるものがあります。結膜炎の種類別にみていきましょう。
ウイルス性結膜炎は、ウイルスの付着した手指やタオルに触れたり、くしゃみや会話時の飛沫がかかったりすることによって感染します。
アレルギー性結膜炎は、原因物質によってさまざまなタイプに分けられます。
ウイルスの種類や感染部位によって症状が異なります。初期症状も含めて、それぞれの結膜炎をみていきましょう。
アレルギー性結膜炎は共通して、目の充血とこすりたくなるほどの強いかゆみが特徴です。目やにや涙が出るほか、目がゴロゴロする異物感をおぼえることもあります。
季節性アレルギー性結膜炎では、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった鼻炎をともなうことも多いです。
春季カタルは激しい目のかゆみと痛みに加え、白い糸状の目やにが大量に出ます。黒目と白目の境目が腫れ、角膜にびらんや潰瘍ができることもあります。
結膜炎の診断は、目やにやかゆみなどの症状から臨床的に行い、必要時に検査を行います。問診や視診から感染性の結膜炎かアレルギー性結膜炎かを判断し、ウイルス性結膜炎が疑われる場合は抗原検査を行います。
流行性角結膜炎や咽頭結膜熱などウイルス性が疑われる場合、まぶたの裏や咽頭付近の粘膜をこすり、検査キットに入れてアデノウイルスを判定します。早ければ10〜15分程度で感染しているかどうかがわかります。
アレルギー性結膜炎では、必要に応じてアレルギーの原因を調べます。症状を緩和するためには、原因となるアレルゲンを知って触れる機会を減らすことが大切です。
点眼薬を使用しますが、目の炎症を抑えることや細菌感染の予防が目的です。ウイルス性結膜炎自体を治すお薬はありません。
免疫で治すのが基本となり、体内に抗体ができて治るまで2〜3週間ほどかかります。
流行性角結膜炎が重症化し、黒目に小さい濁りが生じた場合はステロイド点眼薬を使用します。
アレルギー性結膜炎の場合は、抗アレルギー点眼薬による治療が基本です。重症な場合は、ステロイドの点眼薬や免疫調整点眼剤を使用します。
ステロイドの点眼薬は副作用として眼圧が高くなる場合があるため、定期的に眼圧をチェックしなければなりません。
防御メガネをつける、寝具を清潔に保つなど、花粉やハウスダストといったアレルゲンを目に入れない対策も大切です。
目の充血やかゆみ、目やになどの症状がある場合、視診をさせていただきます。その段階で緊急性を要すると判断した場合は提携している総合病院に紹介させていただきます。それ以外の場合は、必要に応じて抗原検査や血液検査を行います。
ウイルス性結膜炎の場合は、目の炎症を抑える点眼薬や、細菌の感染を防ぐ点眼薬を処方します。
ウイルス性感染症は感染力の強い疾患です。学校保健安全法により、感染の恐れがないと医師が認めるまで学校に登校してはいけないと決められています。
大人も出社を控え、ご家族や周りの方にうつさないよう、手で目をこすったりタオルを共有したりすることは控えましょう。
アレルギー性結膜炎の場合は、抗アレルギー点眼薬を処方します。重症な場合は、ステロイドの点眼薬や免疫抑制点眼薬を使用します。
お薬を使用している間は、点眼薬の効果や副作用の有無を確認するために通院が必要です。アレルゲン回避の相談やお薬の変更にも応じるので、お気軽にご相談ください。