急性咽頭炎

急性咽頭炎

急性咽頭炎とは

急性咽頭炎とは

急性咽頭炎とは、喉の粘膜やリンパ組織に急性の炎症が起こり、痛みや発熱などを引き起こす病気です。主な原因はウイルス感染ですが、細菌感染によって発症することもあります。

急性咽頭炎は、子どもから大人まで幅広い年齢で発症する可能性のある病気です。喉(咽頭)は鼻や口から入った空気が直接触れるところであり、細菌やウイルス、ほこりなどの異物が入りやすいところでもあります。喫煙習慣や冷えて乾燥した空気は、喉の健康には悪影響です。

一度喉で炎症が起きると、唾液を飲み込むこともつらくなるほど痛みを感じる場合があります。症状は短期間で改善しますが、炎症が強い場合は改善まで1ヶ月近くかかることもあります。

急性咽頭炎の原因

ウイルス感染

ウイルス感染では、パラインフルエンザウイルス・アデノウイルス・インフルエンザウイルス・コクサッキーウイルス・ライノウイルスなどが原因です。最初はウイルス感染であっても、後から細菌感染が生じることがあります。

細菌感染

細菌感染では、レンサ球菌やインフルエンザ菌などの細菌が原因です。レンサ球菌のなかでも、A群β溶血性レンサ球菌は発熱や強い咽頭症状に加え、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などの合併症を引き起こすことがあり、溶連菌感染症として広く認知されています。

免疫力の低下

ウイルスや細菌感染のどちらの場合も、原因は免疫力の低下によるものです。疲れやストレス、寝不足などが続くと免疫力が下がり、ウイルスや細菌に感染しやすいです。咽頭は直接外気と接するところであり、感染を起こしやすい場所です。免疫力が低下して細菌やウイルスが感染すると、口蓋垂と扁桃、口の突き当たり(咽頭後壁)が赤く腫れます。

急性咽頭炎の症状

初期症状は、喉の突き当たりが赤くなり、喉が乾いたような乾燥感や、異物感などのイガイガを感じる程度です。病状が進行すると、強い喉の痛み、ものを飲み込む時の痛み、声が出しにくいなどの症状が出現します。また、喉の症状だけでなく、発熱や全身の倦怠感、首のリンパ節が腫れるなどの症状を伴うことがあります。

急性咽頭炎の中でもA群β溶血性レンサ球菌が原因の場合には(溶連菌感染症)、口蓋扁桃が主張し咽頭周囲に白い膿が付着する、舌の表面にイチゴのような赤いブツブツが出現する(イチゴ舌)、体や手足の皮膚に小さくて赤い発疹が生じるなどの症状を伴います。これらは必ず全ての症状が出現するわけではなく、イチゴ舌や発赤疹を伴わないこともあります。

重症例やA群β溶血性レンサ球菌に伴う咽頭炎でなければ、症状が2週間以上続くことはほとんどありません。喉の痛みは最初の2〜3日が最もひどく、時間が経過するにつれて徐々に改善し、特にウイルス性の場合には多くの方は1週間程度で自然に完治します。

急性咽頭炎の検査

急性咽頭炎の検査

バイタルサインの確認

発熱の有無、呼吸状態に異常がないか(酸素化の程度)、脈拍に異常がないかを確認します。
バイタルサインの確認は、急性咽頭炎以外の疾患の併発を確認する意味で非常に重要になります。

視診

視診により、喉の赤みや炎症の程度、口蓋扁桃の腫大の有無、白苔付着の有無を確認します。
溶連菌感染症を疑う場合には咽頭所見だけでなく、イチゴ舌や体や手足の発赤疹の有無などを確認します。

迅速キット

インフルエンザウイルスやアデノウイルスなどのウイルス感染が疑われる場合は、迅速キットを用いて原因病原体を検出できます。
また、溶連菌感染を疑う際にも、咽頭の白い膿が付着している部位を中心に綿棒で擦ることで、迅速検査でA群β溶血性レンサ球菌を検出することができます。

細菌培養検査

細菌感染が疑われる場合は、炎症が起きている部位から分泌物を採取して細菌培養検査を行い、原因となっている菌の特定をします。
上述の迅速キットでA群β溶血性レンサ球菌が検出できなくても、培養検査にて診断が確定することもあります。

急性咽頭炎の治療

炎症を抑えるお薬

ウイルス感染の場合は、基本的には安静療養により免疫力の回復を図ることで、1週間以内に自然に改善することが期待できます。一方で、喉の炎症や腫れを抑える抗炎症薬を使用したり、喉の痛みがひどい場合や発熱を伴う場合には解熱鎮痛剤を使用したりします。トローチ剤やうがい剤にも炎症を抑える効果があり、併用することにより症状を緩和することが期待できます。

抗菌薬

溶連菌感染症などの細菌感染に対しては抗菌薬を使用します。ペニシリン系の抗生物質を10日間続けて服用する方法が一般的ですが、ペニシリン系抗生剤にアレルギーがある場合は、症状や体質に合わせてセフェム系やマクロライド系の抗生物質を使うこともあります。

イオン葛西クリニックの治療方針

イオン葛西クリニックにおける急性咽頭炎の治療方針

急性咽頭炎の症状がみられる場合、詳細な問診、バイタルサインの確認、視診や聴診などの身体診察をさせていただきます。
ウイルス性の咽頭炎と診断した場合、つまり細菌感染を積極的に疑う所見がない場合や、迅速抗原検査にて確定診断が得られた場合には、咽頭痛、発熱、倦怠感などの症状に合わせて、それらを緩和するための抗炎症薬や解熱鎮痛薬を処方します。抗菌薬を強く希望される患者様も多いですが、ウイルス性の咽頭炎に対して抗菌薬は効果はなく、不要な抗菌薬の処方は行いません。

一方で、溶連菌感染症などの細菌性の咽頭炎の診断である場合には、症状を緩和する抗炎症薬や解熱鎮痛薬とともに抗菌薬を処方します。一般的に使用されるペニシリン系の抗菌薬は10日間内服することが重要であり、症状が改善したからと言って途中で内服を自己中断することなく、全て飲みきって下さい。
また、溶連菌感染の場合には合併症として糸球体腎炎がないことを確認することも重要であり、治療から2~4週後を目安に尿検査を実施することを推奨しております。

急性咽頭炎は一般的にはクリニックでの治療が可能ですが、咽頭所見が強く飲水が十分にできないことによる脱水を伴う状態、幼児や高齢者の方で重篤な症状が現れている状態、感染に伴い併存疾患が悪化している状態などを認める場合には、入院加療が可能な医療機関に紹介させていただく場合があります。

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