過敏性腸症候群
過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群とは、腸に明らかな異常はないのに、慢性的に腹痛が起こったり、下痢・便秘などの便通異常やおなかの不快感が長期間続いたりする病気です。多くの患者様が、排便によって症状が少し和らぐ経験をされますが、しばらくすると症状が出てしまいます。この病気は英語のirritable bowel syndromeの頭文字をとって「IBS」とよく呼ばれます。10人に1人程度が過敏性腸症候群に悩まされていると言われており、特に20~30代の方に多く、年齢を重ねるごとに症状を訴える方が減ってくる、という特徴があります。
過敏性腸症候群の原因
過敏性腸症候群の原因は、未だにはっきりと解明されていません。現在有力な説としては、ストレスや心的なプレッシャーが腸の近くを敏感にするというものです。実際、緊張や不安でお腹が痛くなるというような経験をされたことのある方もいらっしゃるかもしれません。腸の運動は自律神経によって動いたり止まったりを調整しますが、そのバランスが崩れると、腸が動きすぎて下痢になったり、止まってしまい便秘になったり、またはそれが混合して起こることもあり得ます。
過敏性腸症候群の症状
・長期間(数週間~数ヶ月)にわたって、便通が悪かったり腹痛が起こったりする
・下痢と便秘を交互に繰り返す
・排便をすると痛みが一時的に落ち着く
・睡眠時には症状が現れない
・排便の回数が不規則
・お腹が鳴る
・排便しても、便が残っているような感覚がある
・おならがよく出る
・ストレスを感じると、症状がより悪化する
これらの症状でお悩みの方は、過敏性腸症候群の可能性があります。
過敏性腸症候群の治療
薬物療法
過敏性腸症候群の治療では、腸内環境を整えるお薬、便の水分量を調節するお薬、乳酸菌製剤、緩下剤腸管など、さまざまな種類があります。精神的な要因が大きいと医師が判断した場合は、神経伝達物質やセロトニンをコントロールするお薬も用います。ただ、どんな方にも必ず効果があるという特効薬はなく、患者様それぞれに合わせて薬剤を調整していく必要があります。
当院では、処方したお薬の効果を定期的に評価しながら、患者様に合った最適の薬を見つけられるよう心がけています。医師が主体となって治療するのではなく、患者様自身に主体性を持っていただき症状や生活習慣を細かく共有してもらうことが大切です。気になる症状がある方はご相談いただき、一緒に症状の改善を目指しましょう。
生活習慣の改善
まず患者様の生活習慣を伺います。睡眠の質や過度なストレス・疲労などでお悩みの方には、その改善策についてアドバイスをします。また、極端なアルコールの摂取や、唐辛子などの刺激物が多い食事は、症状の悪化を招くことがあるので、控えめにするよう心がけてください。喫煙者の方は、この治療を機に禁煙を考慮してみてはいかがでしょうか。
食べ物の中でも、食物繊維を豊富に含むもの(例:バナナ、海草、キノコなど)を意識して食事に取り入れてみてください。特に便秘が気になる方へは、腸の健康をサポートする「乳酸菌」の摂取がおすすめです。下痢の悩みを持つ方は、体の水分を保つことを心がけ、水分を取るときには、胃への負担を考慮して、常温や温かい飲料を選ぶよう心がけましょう。
リラックス効果のある運動は、ストレスを軽減するのに役立ちます。まずは気軽なウォーキングから取り入れ、段階的に運動の習慣を確立していくと良いでしょう。
少しでも気になる症状がある方は、ぜひお早めにご相談ください。
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