かぜに対する治療薬は?
かぜは自然に治るウイルス感染が原因のため、抗菌薬(抗生物質、抗生剤)では治療効果はありません。
そのため、症状は一般的に軽度から中程度であることから、当クリニックでは症状を和らげる目的として以下の対症療法を行います。
- 発熱・喉や関節などの痛み・倦怠感(だるさ)に対して
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アセトアミノフェン(商品名:カロナール、コカール、アルピニー、アンヒバなど)やNSAIDs(商品名:ロキソニンなど)などがあります。
注意したいのは、発熱はウイルスと戦っている証拠であり、完全に平熱まで下げる必要はないということです。解熱剤というのはあくまでも一時的に熱を下げるもので、水分や食事の摂取を可能にすることなどが目的となります。またインフルエンザを疑う際には脳症のリスクを加味してNSAIDsの投与は基本的に行いません。 - 咳に対して
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チペピジン(商品名:アスベリン)やデキストロメトルファン(商品名:メジコン)などがあります。またコデインを含む強い咳止めやステロイドを含む吸入薬は副作用も懸念されるため、医師の診察により必要な方のみに処方します。
なお、ハチミツに同等の効果があるという論文もありますが、1歳未満の乳児には与えてはいけません。 - 鼻水に対して
- もともと通年性のアレルギー性鼻炎などがある方には、抗ヒスタミン薬や点鼻薬のステロイドなどが効果的なこともありますが、これらの薬剤は風邪症状に対して積極的には使用しません。頻回に鼻をかむ、鼻うがいをするなどして、副鼻腔炎にならないよう予防することを推奨します。
抗菌薬(抗生物質、抗生剤)は必要ない?!
かぜの治療において、基本的には抗菌薬(抗生物質、抗生剤)は必要ありません。
前述の通り、かぜはウイルス感染症であり、一方で抗菌薬は細菌感染症にのみ効果があります。抗菌薬の不適切な使用は下痢などの副作用を増やすのみならず、耐性菌の発生を促す可能性があり、近い将来、有効な抗菌薬を失ってしまうおそれがあります。そのため、適切な状況下でのみ使用します。